「植物と」

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「植物と」
岡田芙紗子・中野幹子・zum Beispiel 三人展

***中央線沿線生まれ・育ちの私にとっては懐かしい西荻窪での企画展。とは言え、高校時代の西荻の面影はあるようなないようなあるような? 新鮮な気持ちで、でも歩けば昔と変わらない場所もあり、ノスタルジックなひとときを楽しませてもらっています。

“もりのこと” を営むサノアイさんは木工作家でもいらっしゃり、普段は緑多き高尾の工房でお仕事をされているそうです。一方、ギャラリーのある西荻は都会の中ではゆったりとした、そしてとても楽しく個性的な街ですが、年々、緑も土も減っています。ぱっと見回す限り、林も原っぱも今はありません。それでも、すぐ近くに善福寺緑地や井の頭公園がありますし、元来の武蔵野の空気を好む人達が今も多く暮らしていらっしゃると思います。そんな街角に佇む”もりのこと”は、今一度、西荻に土と緑の匂いを思い起こさせる空間になっているような気がしました。

そして、武蔵野生まれの私も今回は鎌倉から、そこらへんの里山と森の匂いをえっちらおっちら運んで行けたらと、歩き、描く日々でした。谷戸の秋は今年も賑やかです。まず目を引くのは蓼類、ミズヒキの仲間、ヨメナなどの野菊、ミゾソバの群落、視線を上げると、アオツヅラフジ、クサギ、カラスウリ。暗い山道、足元に光る漆黒の椎の実、それを拾おうとかがむと見えるホウチャクソウの隠し玉。住宅地との境を飾るカラフルなノブドウ、かわいい帽子のいろいろなドングリ、と、きりがありません(笑)

里山、谷戸、緑地、道端、で見つけた小さなヨロコビを、いつものように吹きガラスのうつわに載せました。うつわは触媒として、掌から掌へとヨロコビを伝えてくれるものだと感じています。透明なガラスを吹くときには、水や空気を感じるようなのびやかさを大切にしています。そして使いやすいシンプルなカタチを。ガラスは特に周囲の環境や光の影響を受けやすいので、照明や食卓、食材、置かれる場所によって見え方が変化し、その場でしか見せない表情、”思いがけなさ”をもたらしてくれることがあります。

その “思いがけなさ” を発見したのは、ステンドグラスを学んでいた時でした。もともと絵画を学んでいた私は四角く切り取られた世界が好きで、窓にも興味がありました。しかしそれはメタファーというか概念的なものであって、窓という物体そのものではなかった、それがステンドグラスとの出会いによって、モノとしての窓に、そしてガラスという素材に焦点が当たり、現在に至ります。

こちらはサノさんのお力をお借りして復活した”窓” シリーズ。15年前に同じタイトルで個展を開き、ガラス工芸を学んで得たものと、絵画的なアプローチを重ねた平面の作品を形にすることが出来ました。それをきっかけに住宅の明かり取りや小さなステンドグラスのお仕事などもさせていただきましたが、展示会への出品はなかなか叶わず。それには、窓枠部分にあたる額装の解決をどうするかという問題がありました。15年前に制作を依頼した額装屋さんは閉店してしまい、また、全く同じ方法で良いのかどうかもぼんやりと迷っていました。より窓を感じさせるためには建具屋さんに頼むのがいいのか、作品として仕上げるには額装屋さんか。一般的な絵画作品と異なるのは、向こう側の空間、景色や、影を大切にしたいこと。つまり表と裏がはっきりせず、そのためにはどうやって金具や紐を取り付けるのか、自立は可能か、といったこと。また作品の存在感が板ガラスで文字通り薄い(笑)ので、枠は細身の方がよいけれど強度は?色は?素材は?・・・など課題は諸々。この機会に思い切ってサノさんに相談してみたところ、快く引き受けてくださり、さらにこんな素敵なsolutionを引き出してくださいました。落ち着いた木の色、細身でも安定感のある端正な佇まいは今回の植物モチーフにもぴったりで、出来上がった作品を見て、思わず 「わーい♬」 とはしゃいでしまいました✨

さて、少々窓の語りが過ぎましたが…、こちらはガラスと植物つながりの三人展です。ご一緒する作家さんは、本物の木の葉を用いたステンドグラスで美しい灯りを作られているzumBeispielさん、葉脈に魅せられてその構造をガラスに写しとるように繊刻されている岡田芙紗子さん。

葉っぱのステンドグラス、本物の葉っぱをガラスで挟み、さまざまな形の照明に組まれています。葉脈や色味が灯りによってくっきりと浮かび上がり、落ち葉とは思えない鮮やかさ。スイッチを切っている時は、本当に葉っぱなのだなぁというのがよくわかります。マルや四角に切り取られたモザイクのようなデザインも。

岡田さんのドーム型の作品にも電気式のロウソクがついているそう。お皿、ワイングラス、ビールグラス、グイノミなどバリエーション豊かな器にしっかりと彫られた葉の表情はとても細かく、品があります。

”もりのこと”は、ご覧の通り、扉、内装、置かれている什器や家具、照明、とサノさんのこだわりが隅々まで行き渡ったとても気持ちの良い空間です。ご都合のよい日がございましたら、ぜひ、西荻散歩にお出かけください。これからの季節の植物のこと、みなさまにも楽しんでいただけたら幸いです。

中野作品は抽選販売となり、会期中すべて展示されます。
ご高覧お待ちしております✨
よろしくお願いいたします🍃

もりのこと
2021.10.14-24 (店休日18,19,20)
12時〜18時
杉並区西荻北4-9-3
JR西荻窪駅北口徒歩6分

🌿出展数約20点
🌿販売抽選制