アマビエ 疫病退散

“弘化三年四月中旬(1846年5月上旬)、肥後の国の海中に毎夜光るものあり、役人が行ってみると、図のような者が現れ、「私は海中に住むアマビエと申す者、今年から六年は諸国で豊作が続くけれど、病も流行る。早々に私の姿を写し、人々に見せてくれ。」と言って、海の中へ帰っていった。” 

これは、京都大学附属図書館に保存されている江戸時代の資料、「肥後国海中の怪(アマビエの図)」に書かれた文章です。

すでにご存知の方も多いことでしょう。江戸時代、熊本に現れ疫病を予言したといわれる「アマビエ」。新型コロナウィルスの出現により、現代の人々の間でも瞬く間にひろまり大流行しています。なにしろ、「(姿を)写して人々に見せよ」というのですから、プロ・アマ問わず、描いたり、形作ったり、お菓子やパンにもなって、今や世界各地の新聞にまで紹介されるほどに。妖怪なのか、妖精なのか、神の使いなのか、謎の水生生物なのか。興味をそそられます。

不安や閉塞感、重苦しいニュースに気がつけば眉間にシワを寄せて暮らす日々。アマビエさんは、「我の姿を見てほっこりせよ」 と言っているのかもしれないな、と、最近になって気がつきました。

モチーフとしては面白いですが、たくさん描かなくても済む世の中になってほしいです。少しでも早く収束しますように。

グラスは一息つきたい時に使うもの。冷茶でも、冷酒でも。