独自の表現は緊張感の結晶
技法は、b.d.p(browing drawing painting)完成品に絵を描くのではなく、玉素地に絵を描いてから吹き、カタチをつくります。時間をかけて描いた絵が、一瞬にして割れてしまうこともあり、完成品はそれまでの緊張を結晶化させたものと言えます。
本作は、枝垂れ桜をモチーフに春爛漫を表現しました。花の精が天から手元に降りてくるような風情の枝垂れ桜、その愛らしい花とつぼみに、毎年魅せられます。
小さな壺という魅惑
小瓶や小壺はそれだけでとても魅力ある存在です。オープンな器にはない、謎めきや秘密めいた印象を纏っているからでしょう。何が入っているんだろう?何を入れるんだろう?何に使うんだろう?器に興味のない人にさえ、素朴な疑問を誘発します。ガラスには透ける性質があり、謎めきもいくぶん爽やかに。さぁ、どうして使いましょうか。
茶入に。蓋をして棚の荘りに。蓋を取って一輪挿しに。ドライフラワーとアロマに。大事な薬に。特別な一日に。
「茶入」ってなんでしょう
茶入は「ちゃいれ」と読みます。茶道で用いられる、抹茶の粉を入れるための容器です。棗(なつめ)もお茶を入れる容器ですが、こちらは木製で決まった形があり、お茶が入れられればなんでも「棗」と呼べるわけではありません。「茶入」の方はもう少し自由で、素材も形もさまざまなものがあります。この作品は、枝垂れ桜のピンクを通して抹茶の色が透けて見えます。暗いお茶室よりは、自然光の入る昼間のお茶室の方が向いているかなと思います。